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壁面から文字やロゴマークだけが浮き出している看板、皆さんも見たことがあると思います。ただ文字が印刷してあるだけの看板に比べて文字の主張が非常に強く、印象に残ります。こういった立体的な文字は、カルプやアクリルなど材質も様々です。今回はその中でも“アルミ複合板”を用いた切り文字についてお話ししたいと思います。ルーターという機械を使った作業について詳しく紹介します。
アルミ複合板とはそもそもどんなものなのか。発泡プラスチックを芯材として軽量のアルミシートと発泡エチレンで積層したもので、耐久性、耐候性、侵食性、耐汚染性、耐摩耗性に優れています。 温度変化にも強くたわみやひずみもなく、コストパフォーマンスも他の素材と比べてとても良いです。その為、今回のような切り文字に限らず様々な看板に使用されています。
アルミ複合板の切り文字加工の手順は、大きく分けて『1.データを作る』『2.シートを貼る』『3.カットする』の3段階です。それぞれ詳しく説明します。
切り文字を作るのにはルーターという機械を使用してアルミ複合板を加工します。それでは早速、ルーターを使用して…というわけにはいきません。まずはAdobeのIllustratorというソフトを使い、実際にどんな形を切るのかカット用データを作るところから始めなければなりません。
最初に、切りたい文字の縁を“線”で表現します。ルーターはデータの線を読み取って動くのでルーターの刃を入れたい所にだけ線のデータを作ります。この線のことを“カットライン”と呼びます。必要のない所に線のデータを作ってしまうと、ルーターは不要なデータも切るものだと認識して動いてしまうので実際にルーターを動かす前にデータの確認は念入りに行わなければなりません。
データが完成した、さぁ切ろう!…となる前にアルミ複合板にも一工夫です。このままデータ通りに切ったとしてもアルミ複合板は基本的に白一色。これでは折角の切り文字も魅力半減です。そこで、カット前のアルミ複合板にIJプリンターで印刷したメディア(シート)や好きな色のカッティングシートを貼ったりします。下の画像は赤いカッティングシートを貼ってから切った例です。
作りたい切り文字が単色ならカッティングシートを使用することで鮮やかな文字が作れますし、自分のデザインした模様を入れたり、写真を入れてみたりしたい場合はIJプリンターで印刷したシートが適しています。文字を切った後でもこういったシートを貼ることは可能ですが先に“板”の状態のときのほうがシートを簡単に貼れますし、仕上がりも綺麗になります。
また、こういったメディアやシートを貼ることで、切り文字の耐候性が高まります。その為、白の文字がいいからと何もシートを貼らないよりも、白のシートを貼ってからカットすることによって見た目はそのままに長持ちさせることが出来るのです!
お待ちかねのルーターカットです。これがルーターという機械です。長辺は2200mmまで対応できます。ルーターを使用してのカットには大きく分けて二通りのやり方があります。
まず一つ目が板をそのまま、もしくはカッティングシートを貼りつけた場合のカットです。予めIllustratorでつくったデータに使用する板と同じサイズの四角の線を入れておき、板をルーターにセットします。
ルーターの刃の近くに付いているカメラで使用する板のセットしている位置とデータ内の四角の線をリンクさせ、カットする場所を確定させます。カメラでの位置設定が出来ていないと板が置いていないところで刃が動いてしまい失敗してしまう恐れがあるので位置設定は間違いの無い様行わなければなりません。位置の設定が終われば後は自動で切ってくれるのを待つのみです。
二つ目はIJプリンターで印刷したメディアを貼り付けた場合のカットです。印刷物を貼り付けた板のカットには先程のカッティングシートを貼りつけた板のカットとの大きな違いがあります。
“板の中にカットデータが収まってさえいればどこを切ってもいい”のがカッティングシートを貼り付けた板なのに対し、印刷物を貼り付けた板は“板の中のデザインに沿って切らなければならない”という条件が付いてしまうのです。Illustratorで先程と同じように板のサイズをデータ内に線にして作ったとします。それとリンクした印刷物を板に貼り、いざカットしてみると思っていたカット位置からズレたところに刃が入ってしまいます。これは板への貼りの精度もありますが、どんなに綺麗に貼ったところでズレは出てしまいます。
その原因として考えられるのがプリンターの熱によるメディアの伸縮です。ほんの僅かですがIJプリンターで印刷する際のインクを乾かす為の熱でメディアが伸びてしまったりします。その為、データがいくら正確であってもズレが生じてしまうのです。
これを回避する対策として挙げられるのが“レジマーク”と呼ばれる黒い丸印です。デザインを印刷する際にカットする箇所に被らない場所にいくつかこのレジマークを付けて一緒に印刷します。データ上の同じ位置にもレジマークがある状態で、レジマーク付きのメディアを板には貼り付けルーターにセットします。ここでルーターに付いているカメラを使用するのですが、今回は印刷したレジマークを読み込ませます。こうすることによって複数のレジマークから距離を割り出し、データとの誤差をルーターが修正してくれるため正確な位置にカットをすることが出来るのです!
アルミ複合板を使用した切り文字は見栄えも良く、印刷したメディアやカッティングシートと組み合わせることで様々な魅せ方をすることが出来ます。しかし、ルーターを使用するとなるとカット用データやルーターの操作などある程度の知識が無いと難しいと思います。そんな時は一度看板のプロに相談してみてはいかがでしょうか。自分の作りたいと思っている切り文字看板のイメージに近づけられるような提案できっと力になれると思います!
アルミ複合板に印刷したシートを貼って、ルーターでカットする作業動画です。ルーターの滑らかな動きにご注目!
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